2018年10月10日(水)第2週「…会いません。今は」
あらすじ
咲姉ちゃんが倒れたと聞いて、病院へ駆けつけた今井家の人々は、真一さんと一緒に医師から、病巣が広がっているレントゲン写真を見せられ、診断の結果が結核とわかると、大きなショックを受けます。
咲姉ちゃんは、最初、診断してもらった病院では風邪と言われたので、放っておいてしまったとあやまります。
鈴さんは武士の娘だから、こんなことで動じたりしないと言ったものの、病室を出ると、待合い室の椅子にへたり込んで、泣き出してしまいます。
打合せでホテルにやって来た萬平さんは、そのついでにと、福ちゃんをデートに誘おうとしますが、咲姉ちゃんの病気を告げられ断られます。
すると萬平さんは、世の中の医者が、みんなが結核に詳しいわけではないので、自分がいい医者を探しますと告げます。
昭和17年(1942年)年が明け、粉雪のちらつく夜、今井家に萬平が訪れ、結核の専門病院をみつけたと、福ちゃんに知らせにやってきます。ところが鈴さんに「福子に関わるのはもうやめてほしい」と訴えられます。
参考:Yahoo!テレビ
前置きレビュー
結核にかかる
美人な咲姉ちゃんが、まさか結核にかかるなんて、管理人はショックなのですが、かつて結核は化学療法開発までは、不治の病とされていました。
ちょうど咲姉ちゃんが結核にかかってしまうころ、X線による撮影での診断が始まりますが、BCGワクチンの大量生産に成功して、化学療法が始まったのは、戦後になってからです。
実際、咲姉ちゃんのモデルになった、安藤仁子さんのお姉さん晃江さんは美人で、子供のころは裕福に育ち、現在の東大阪市菱屋西にある樟蔭高等女学校へ通うのに、人力車を使うほどのお嬢さまでした。
ところが、晃江さんが成人するころには、家が傾き始め、ドラマでは、小野塚真一さんは裕福な勤め人の設定ですが、実際は、会社員と結婚するも、給料が安く、貧乏生活を強いられることになり、もともと病弱だったこともあって、結核にかかってしまったそうです。
ここで管理人が、気になったのが、戦前に救急車が存在したのかということですが、日本で初めて救急車を配備したのが、昭和6年(1931年)大阪市にある日本赤十字社大阪支部でした。
福ちゃんから、咲姉ちゃんが結核にかかったことを聞いた萬平さんは、咲姉ちゃんのために、結核の専門医を探してくれることになりますが、まだ鈴さんから、結婚の許しをもらっていない萬平です。
そんなこともあり、必死に見つけてくれたようですが、インターネットのない時代、自分の体ひとつが頼りのころ、その萬平の行動力がみどこになるのかな?
感想
病床の咲姉ちゃん
亡くなる確率が高かった結核にかかってしまった咲姉ちゃんに、誰しもがショックで、どうすることもできません。
鈴さんとしては、咲姉ちゃんの前では、武士の娘だからと気丈に振舞いますが、苦労してようやく嫁いだ娘の病を受け入れられず、病室を出ると泣き出してしまいます。
こんなにキレイで、嫁いだばかりの娘が、どうしてこんな不幸な目に合わなければならないのか、悔しさで涙が出てしまうのも無理もありません。
真一さんは、自分がついているから大丈夫だと咲姉ちゃんに言うと、咲姉ちゃんは、すまなさそうに「はい」とだけ返事をしますが、なんとも切ないです。
克子姉ちゃんは、真一さんに迷惑をかけまいとしたことが、裏目になったのではと話しますが、管理人も、そう思いました。
子供たちが咲姉ちゃんのために、千代紙を使って折り鶴を折っていますが、折り鶴のなんとキレイなこと。
色とりどりの生花が手に入らない時代、ゆらゆらと揺れる折り鶴に、咲姉ちゃんの気持ちは慰められたでしょう。
野呂さんショック!
仕事の打ち合わせで、ホテルにやって来た萬平さんは、福ちゃんに次のデートを誘いますが、福ちゃんは「その日はちょっと」と言葉少なげに返すだけ。
それを見かねたように、恵さんは、ちゃんと説明をした方がいいと告げますが、こういう気遣いは、ありがたいものです。
福ちゃんは、仕事を抜け出し、萬平さんに咲姉ちゃんの結核について話しをしていると、なんと厨房の野呂幸吉が、その様子を伺っています!
二人の親密な会話のやり取りに、野呂さんショック!
これまでの缶詰、返して!とは言わないでしょうが、ようやく無駄になったことに気づいたようです。
切ないですね。
牧善之介現る!
鈴さんは、苦労して育てた3人の娘が幸せになってくれることだけを夢見ていたのに、咲は結核などにかかってしまい、どうして真一さんは、気づかなかったのかと福ちゃんにグチります。
克子姉ちゃんは、貧乏画家と一緒になって苦労しているし、せめて福ちゃんだけは、自分の気に入った人と一緒になって欲しいと言えば、福ちゃんは絶対ヤダと反抗するしで「どうして、うちの娘たちは、そろいもそろって男運がないの!」と、やけ食いをしていると、馬のいななきが聞こえてきます。
鈴さんは口にしたたくあんを、のどにつかえてしまったかのような驚きの表情に、笑ってしまいます。
もちろん馬のいななきが聞こえるのは、あの人しいません。
外へ出ると、今日は、すでに馬から下りた牧善之介がいました。
咲姉ちゃんが気の毒になるくらい、牧善之介の顔色は、健康そのものでツヤツヤです。
なんの用なのかと言えば、麻黄附子細辛湯(マオウブシサイシントウ)という、高齢者や病み上がりの人のかぜに処方される漢方薬を、咲姉ちゃんのために持ってきてくれたのです。
咲姉ちゃんが結婚したことを知っているにも関わらず、この牧善之介の心遣い!
なんて素敵なんでしょうと思いたいところですが、馬に乗っている割には、いつまで経っても”よじ登らない”と馬に乗れない牧善之介さん。
ただただ笑っちゃいました。
冷たい鈴さん
ある雪の降る夜、萬平さんは、結核の病院を見つけたからと、福ちゃんの家にやってきます。
今と違って、電話のない時代です。
雪が降ろうとも、直接足を運んで、萬平さんは病院を伝えに来ますが、鈴さんに3年前、咲姉ちゃんの結婚式で、鈴さんを拝見したと挨拶すると、鈴さんは、冷たく「あなたのこと覚えてないわ」と返します。
こういう時の鈴さんは、ほんと潔いくらいきっぱりと言い切ってしまいます。
鈴さんの後ろで、申し訳なさそうに、そして諦めたかのような福ちゃんの表情をチラ見すると、萬平さんは、「お姉さまがお元気になられたら、福子さんに結婚を申し込むつもりです」と、きっぱり言い返して帰っていきます。
きゃ~萬平さんステキ!!!
ほんとうは、福ちゃんに「僕が君を守ってあげるから」と言いたかったと思います。
クラシックな展開ですが、粉雪の舞う寒い夜に、気持ちが温かくなります。
コメント