ろくでなしというと、沢田研二の「憎みきれないろくでなし」や越路吹雪さんの「ろくでなし」を思い出します。
蓮っ葉なイメージですけれど、あらためてろくでなしの「ろく」って何?と聞かれると、何なのでしょう?
岡村さんは「さいころの”六”、なかなか”六”出ないし」
チコちゃん「ボーっと生きてんじゃねーよ!」
「チコちゃんに叱られる」(2019年2月22日放送)より、まとめました。
ろくでなしのろくって何?
まっ平ら~
詳しく教えてくださるのは、国学院大学の文学部教授新谷尚紀さん。
ろくでなしの意味
一般的に、まともじゃない人や、道楽者などに対して使います。
”ろく”という言葉は、”ろく”を否定して、悪い意味で”ろく”では”ない”という言い方をします。
戦国時代の末期に、ポルトガル人の宣教師がまとめた、日葡辞書(にっぽじしょ:日本語をポルトガル語に翻訳した辞書)には、当時の日本人が使っていた言葉として「Roucuna(ろくな)」という言葉が出てきます。
この辞書によれば、「Roucuna(ろくな)」は「平たんな(こと)」で、使い方として「ろくな道」は「平らでなだらかな道」と書かれています。
つまり「ろく」は「水平・まっ平ら」なことを表しています。
漢字は?
「ろく」を漢字で書くと「陸」になりますが、今でも建築業界では水平や平らの意味で、この「陸(ろく)」が使われています。
一級建築士さんに聞いてみると
「小学校の屋根とか思い浮かべると、平な屋根ですが、これを”陸(ろく)屋根”と呼びます。」
また、土壁になどに「陸墨(ろくずみ)」と呼ばれる建築物の水平の基準となる墨の線、これをもとにして建物を造ります。
つまり「ろくでなし」は、「平じゃない」が転じて「ふつうじゃない・まともじゃない」ことを表すようになっていきました。
辞書の「ろくでなし(陸でなし・碌でなし)」や「ろくな(陸な・碌な)」には、「陸」の他にもう一つ「碌」が載っています。
もともとひらがなの「ろく」に、漢字を当てはめたのですが、「陸」と「碌」では、意味が全くの逆なんです。
辞書で「碌」を見てみると「石偏に石のゴロゴロした貌」とあります。「平ら」とは正反対です。
江戸時代中期よりも、前の文献には「陸」を使っています。
江戸中期以降、この石偏の「碌」を使われるようになっているのです。
1684年の「浮世草子好色二代男」では、「家のゆがみを陸に」と使われていますが、江戸中期以降「狂言茸」では「碌なことではござるまい」否定的な表現とともに、石偏の「碌」が使われております。
おそらくですが、「ろくでなし」や「ろくでもない」が、はやり言葉のように多く使われるようになり、「ろくでなし」という言葉自体の意味に合わせて「石がゴロゴロしている意味の漢字」「碌」を当てたと考えられます。
確かに辞書には石偏の「碌」には「当て字」と書いてあります。
おまけ
田中要次さん「”ろく”という言葉を改めて知ったので、撮影現場ではやらそうかな。斜めにすることを”八百屋にする”。だから”壁の絵ろくじゃねえな」
まとめ
「当て字」と言われたら、それで話が終わってしまいそうですが、そんなものなんでしょう。
コメント