2019年9月9日(月)
あらすじ
しゅうとめのお清(高森和子)は、どんなことでもおしん(田中裕子)を責める材料にするので、おしんは悔しくてたまりませんでした。
田倉家の嫁になろうと思いながらも、そんなとき、おしんの心は揺れ動きます。
大正13(1924)年秋、おしんは臨月になっても畑仕事をさせられています。
義父の大五郎(北村和夫)がお清に意見してくれたので、畑には出なくてよくなったが、竜三(並木史朗)はお清をかばい、おしんに厳しい言葉をぶつけます。
参考:Yahoo!テレビ
おしんキャスト
田中裕子、並木史朗、伊藤毅、長谷直美、観世葉子、高森和子、有明祥子、北村和夫、北村総一朗、木内聡、藤田亜里早、金子成美、香野百合子、萩堂譲二、乙羽信子、大橋吾郎
おしんあらすじネタバレ
現代パート
乙羽信子おしんが、「田倉」の表札のある門の前に立ち止まると、圭ちゃんは、表札を見て「おばあちゃん!」
おしん、無言でうなづく。圭ちゃん「あっそう!ここがそうなんだ。へーやっぱり残っていたんだね。」
おしん「中の様子は変わっているようだけど、この門だけは、昔のままだ。」
圭ちゃん「よってみる?」
おしん「会ってどうするのさ?」
圭ちゃん「今まで、方々回ってきたけど、一人も昔の人は、会ってないんだよ。せっかくあの頃の家が見つかったって言うのにさ。たずねてみようよ」
おしん「いい思い出なんて、少しもなかった。それにずっとつき合っていなかったし、もし、あの頃のおばあちゃんのことを覚えていてくれた人がいたって、おばあちゃんのことなんて、思い出したくもないだろうしさ。」
圭ちゃん「どうして?」
おしん「田倉の人たちにとって、おばあちゃんは、やっぱりイヤな嫁だったろうからね。」
圭ちゃん「それは、ないだろう。ヒドイ目にあったのは、おばあちゃんの方なんだから。お清婆さんみたいな、さんざんいびりぬかれて。」
おしん「ヒドイ仕打ちをされたのは、やっぱり嫁の方にも、それだけ理由があるんだよ。兄嫁の恒子さんだって、言いたいことも言わず、したいこともしないで、堪えて堪えて耐え抜いて、それでやっと、姑さんに嫁として認めてもらえるようになったんだからね。」
圭ちゃん「バカバカしい時代が、あったんだね。」
おしん「おばあちゃんだって、あの頃は、そういう嫁になるつもりだったんだけど、田倉の人間になるには、そうするより他になかったんだもんね。」
おしんと圭ちゃんは、そう話しながら歩いていると、おしんは、ふと立ち止まり、一軒の家の中から、孫を連れたおじいさんが出てくるのを見ます。
おしんは、思わずお辞儀をすると、そのおじいさんも、お辞儀をします。
圭ちゃん「おばあちゃん、知っている人?」
おしん「佐太郎さんだよ。兄さんの長男の。あの頃10くらいだったから、もう70は、過ぎているだろうね。」
圭ちゃん「あの人、全然気づかなかったみたいだね。」
おしん「あの頃は、まだ子供だったんだもの佐太郎さん」
圭ちゃん「声かけてこようか?」
おしん「およし!いいんだよ、これで。あの頃のことは、おばあちゃん一人の思い出でいいの。何も昔が懐かしかったり、昔ばなしをしに来たりしたワケじゃないから。」
圭ちゃん「僕、だんだんわからなくなってきたんだ。おばあちゃんの旅の目的は、十分理解したつもりでついてきたんだよ。でも、なんだか、つらい思い出ばかりでさ、何も今頃、思い出すことないんじゃないかって気がする。
せっかく、今、幸せなんだから。」おしん「幸せね。アンタには、そう見えるのかね」
堀の前
おしん「そうだ!この堀だよ!お佐和さんが身投げしたのは。」
圭ちゃん「へー深そうだね。よく助かったね。」
おしん「お佐和さんだけじゃない。あの頃の農家の嫁は、みんな1度や2度、死んじまおうと思い詰めるほど、みんな苦労していたんだから。
女がつらかったのは、山形だけじゃなかった。」圭ちゃん「おばあちゃんも、死のうと思った?」
おしん「おばあちゃん、へそ曲がりだからね。死んだら、みんな厄介ばらいができるだろうと喜ぶと思ったら悔しくってさ。何が何でも生き抜いて、立派に子供を産んみせるぞ!死んだら、負けだもん。それに雄がいたから。
子供を道連れにすることだけはできなかったし、ましてや雄を置いて死ぬなんて、考えてもみなかったよ。みんなに冷たくされて、一人ぼっちだったけど、その一念で頑張った。無事に子供さえ産んだら、いつかきっと、田倉の家の嫁として認めてもらえると信じてさ。でも大きなお腹を抱えて、カンカン照りの中を毎日、田んぼの草取りをしたときは、さすがにつらかったね。
下を向くと、ますますお腹が重くてさ、ウチへ帰ると疲れ果てて、歩く気力もなくなってた。」~中略~
居間
篤子、スイカを頬張っている。福太郎「あの体では、もう無理だ。あんな所で眠ってしまっていては。そうとう参っているのではないか?」
大五郎「そりゃ休ませてやれ。手の足らないところは、誰かに来てもらって」
お清「お産は、病気じゃないですよ。気を使って、そのたびに寝ていたら、農家の嫁は務まらない。」
大五郎「そんなら、篤子にも、おしんと同じ事させないのか?」
篤子「お父さん」
大五郎「母親が、いいよいいよで甘やかして、1日中ゴロゴロして」
お清「篤子は、よそ様のあずかりものですよ。おしんは、ウチの嫁ですから。」
大五郎「嫁も娘もない!同じお産を控えているんだぞ!休ませると言ったら、休ませる!」
そう言って、おしんの部屋へ行く大五郎。おしん、縫物をしている。
大五郎「おしん!明日から、田んぼに出なくてもいいからね。ゆっくり体を休ませればいい。無事に出産することの方が、大事だからな。誰にも遠慮することはない。」と言って、立ち去る。
座敷
お清「初めて子供を産むというのなら、大事を取らなくてはいけない。でも、2度目で、今から休むなんて聞いたことない。」篤子「そんな楽したことない。自分の実家へ帰って産めばいい。」
お清「竜、私は何にも憎くてしているワケではない。普通、みんな産む前の日まで働いている。あたしだって恒子だって、そういう風にしてきた。それなのに、なぜおしんだけ甘やかさなくてはいけないんだ?
少しは、おしんにピシャっと言った方がいい。」竜三、無言でおしんのところへ行く。
竜三「もう、寝るのか?おふくろや、姉さんは、今から夜なべだよ。おやじは、何て言ったか知らないが、おふくろの言っていることを少しは考えて辛坊しないと。俺だって、もうごたごたはたくさんだよ。」と言って、部屋を出る。
竜三が何を言いたいのか、おしんにはわかっていた。やっぱり休めないんだ。
竜三を恨む気持ちはなかった。あの人だって、つらいんだ。おしんは、思う通りにならない自分の体が、ただ情けなかった。
参照元:
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前置きレビュー
現代パート
今回は、いつもより長いです。
感想
へそ曲がり
あれほどイヤな思いをしたはずなのに、本家へ訪れます。
BGMがドラマチックです。
老いたおしんと言えど、気持ちに潤いを持たせてくれるような曲です。
80過ぎて、こんなドラマチックなこと、どれくらいあるかなと思ってしまいます。
当時、お嫁さんと言うと、恒子さんのような、黙って耐え忍ぶような人が、主流だったと思いますが、7つの時から、他人の家で奉公しているおしんは、言わば一匹オオカミで生きてきたので、自分の節を曲げようとはしません。
それが時として、あだになっているけれど、自分の人生を生き抜いてきた人というのはわかります。
竜三は、おしんの強さに惹かれたのでしょうけれど、佐賀の実家では、おしんにも竜三にも厳しい状況を招くだけになったのは、なんとも言えません。
田中裕子さん
ふらふらしたおしんの様子ですが、田中裕子さんの演技がうますぎて、見ているのがつらいです。
そんな様子は、どうってこともないかのように、立て板に水のごとくお清の説教が止まらない。
体だけじゃなく、神経もまいっているだろうに、お清の冷たいこと。
それと対照的に、猫娘みたいな篤子が、のん気に昼寝していて、見ていてムカついていくる!
大五郎は、おしんのことを大切に思ってくれているのに、お清は、どこ吹く風。
それに黙って従う、竜三に、さすがに見ていてイヤになるが、それにしても、苦しい状況なのに田中裕子さんのそこはかとない色気が、見せ場を作って感心。
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