2019年9月12日(木)
あらすじ
義妹の篤子は難産の末、無事に出産します。しかし、おしん(田中裕子)には不幸な一夜となった。おしんの出産は、誰にも助けてもらえず、ひとりぼっちでした。
子どもが死産だったと告げられたおしんは、子どもの死を信じられず、もうろうとしながら自分が名付けた「愛」という名前を繰り返し呼び続けます。
おしんの心に深く刻まれた傷と、ひとりでくぐり抜けた地獄は誰にもわからないものでした。
参考:Yahoo!テレビ
おしんキャスト
田中裕子、並木史朗、長谷直美、観世葉子、高森和子、有明祥子、北村和夫、北村総一朗
おしんあらすじネタバレ
朝
篤子の難産騒ぎで田倉家の一夜は明けた。
母子ともに健全であった。
が、おしんにとっては、不幸な一夜となった。
倒れたおしんを、竜三が介抱していると、大五郎が入ってきて「どうだ?」
竜三「このまま逝ってしまうことになるのか。俺は、おしんに詫びても詫びきれない。」大五郎「ふざけたことを言うもんじゃない。産褥熱だから、ほかの悪い病気が併発しなければ大丈夫だと、医者も太鼓判を押していたじゃないか。今日、1日、ついていてやれ。」
お清は、お産にかかわった人たちに、ひしゃくを使って、手を洗わせる。「稲刈りで忙しい時に、申し訳ない。お産は、近所の女子衆の努めですから。」
「こちらじゃ、もう一人、若いお嫁さんのお産が、近いんじゃないですか?大きなお腹を抱えて、良く働いて。」
お清「さっ奥に支度をしてあるから、粗末なものだけど、お酒も用意してあるから。」と言って、みんなで部屋に入る。
座敷から、女衆の笑い声が聞こえる。
おつぎ「大奥様も、よっぽどうれしいのでしょうね。」
恒子「よく、あんな笑い声が出るよね。」と言って、宴会の支度をしている。竜三が、おしんを介抱していると、恒子がやってくる。「目が覚めたら、食べてもらおうと思って、持っていた。」
竜三「心配をかけてしまって」
恒子「おかゆは、冷めてしまうから、また食べる時にでも、温めなおして。これは、竜三さんの。食べないといけないよ。竜三さんまで、参ってしまうよ。おしんさんのことで、つらいでしょう」
そう言って、立ち去る。
竜三は、おしんの横に座ると、産まれたばかりの赤子と、それを見るおしんのうれしそうな顔を思い浮かべていると、おしんが「りゅうぞうさん、何、笑ってたの?」竜三「気がついたか?」
おしん「あの子は、女の子だったでしょう?私、ちゃんと見たんだから。どこにいるの?」竜三「腹は、すいてないのか?姉さんが、おかゆを作ってくれた。おしんが眠っていると言ったら、食べる時、また温めなおすって言ってた。今、もらって来てやるからね。」
おしん「連れてきて。顔、見たい。お乳も、やらないと。」
竜三「ちゃんと、おふくろが見てやっているから。」
おしん「お乳は、どうしているの?」
竜三「篤子が・・・篤子が、やってくれているよ」~中略~
竜三「俺は、おしんに会わせる顔がない。俺には、あんなむごいことは言えない。」
大五郎「おしんは、気がついたのか?」
竜三「生まれた子を見せてくれって。俺に、本当のことを言えって言うのか?あの体で、そんなことを言ったら、おしんはどうなるのか?」
大五郎「わかった、俺が話す。隠し通せることじゃない。」
大五郎と竜三が、小屋に入ってくる。
大五郎「おしん、気分はどうだね?」
おしん「あの子は?」
大五郎「おしん、残念だった。子供は、死んで産まれてきた。おしん、アンタは、まだ若いから、これからいくらでも恵まれるよ。」
おしん「うそぉ?あの子、生きてた。あたしが、自分で、へその緒を切って、洗ってやるお湯がないから、産着で、そのまま包んで」
竜三「おしん」
おしん「体が温かくて、心臓がドキドキいって、体がまるで、みんな心臓みたいに、生きてる。生きてるって、叫びたいくらいうれしかった!死んで産まれたなんて、ウソよ!私、この手で覚えているもの。この手の中で、ドキドキって。ちっちゃな体が、精一杯生きてた。ほんとよ、ほんとなんだから!」
大五郎「おしん、アンタ、この小屋の外で倒れておった。それを竜三が見つけて、大騒ぎになってな、ちょうど医者が来ていたから、命を取り留めた。もう少し、遅かったら、おしんも助からなかった。産まれてきた子は、医者が診てくれたが、死産だったよ。」
おしん「うそぉ生きてた。ほんとうに、生きてた」
竜三「おしん、俺が抱いたときは・・・」
大五郎「医者が言うには、死んで産まれてきたと。たとえ産まれたとき、息があったとしても、とても生きられる体ではなかったと。やせて、小さい子だったよ。腹の中で、育ちきらなかったんだよ。医者が言っていた。」
おしん呆けて、竜三に「会わせて、お願い、あの子に!」
竜三、おしんを抱きしめる。
大五郎「あの子は、何も汚れも知らないで、死んだんだよ。きっと極楽に行っているよ。」
おしん、体をよじらせ、焦点が定まらない。
大五郎「おしん!」
竜三「おしん!」
おしん「あの子に会って来ます。あたし、名前をつけたの。“愛”って言うの。みんなに優しい愛情を持てるようにと思って。“愛”、お乳やらなきゃ!きっとひもじいって泣いてる。」
竜三「おしん!」と言って、抱きしめる。
おしん「“愛”行ってやらなきゃー“愛”!」
参照元:
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感想
感情が
雨の中、誰に見つかることなく、朝まで、うつぶせしていたおしんに、最悪な結果が待っていました。
こんな最低な思いをした挙句、子供が死産だなんて、むごすぎます。
しかも、究極の悲惨な状況の中で夢も現実もわからなくなってしまった、おしんは、「体が温かくて、心臓がドキドキいって」と子供のことを話します。
産まれたばかりの子の喜びを最大限に表現をして、その健気な様子に泣ける。
大五郎は、医者の話しでは、死んで産まれたと話しますが、おしんには信じられないでいます。
残酷なようですが、こういう時だからこそ、真実を告げることで、現実を呼び覚ますことは大切だなと思いました。
おしんは、どんなことがあっても一人で産む。迷信など、そんなことにこだわらず、元気な子を産んでみせると、ずっと頑張ってきました。
お清の嫌みやいびりに堪えつつ、元気な子を産もうと、毎日を過ごしてきたのに、まさかの死産。
そりゃ、壊れるでしょう。
田中裕子さんの狂気をはらんだ演技が、ともかくすごい!
脚本もすごいけれど、それを最大限に演じられる田中裕子さん、尊敬です。
松田優作の「蘇る金狼」思い出します。
そのおしんの頑張りを、竜三は、見てきたのに、肝心なところで、自分がついてあげていなかったと責めても無理もないです。
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