2019年11月4日(月)
あらすじ
加賀屋が倒産し、お加代さま(東てる美)や、その家族の行方がわからないまま一年が過ぎた昭和6年、おしん(田中裕子)は、浩太から加代がみつかったと知らされ、上京します。
おしんはまず、師匠のたか(渡辺美佐子)を訪ねますが、お師匠さんは健さん(ガッツ石松)を呼び寄せて、おしんの案内を頼みます。
お加代さまの住所を探しあてた時、おしんは女ひとりでは来られぬところだったと思い知り、心の冷える思いでお加代さまの暮らしを悟ります。
参考:Yahoo!テレビ
おしんキャスト
田中裕子、ガッツ石松、河原さぶ、東てる美、永井政春
おしんあらすじネタバレ
場末のカフェ
健さん「いるのは、わかっているんだ!つべこべ言わずに、呼べばいいんだよ!」男「いったい、何の用があって」
健さん「黙って連れてくるんだ!」
お加代の声で「ちょっとすまないけれど、何か食べるモノないかしらね?」と言って、階段を下りてくる。
お加代「お腹すいているから、泣き止まないんだよ」
おしん「お加代さま」
お加代、おしんに気がついて、二階に上がってしまう。
おしんは、二階に行こうとすると、男に止められ、おしん「私が、探しているお人なんです」
男「何も、わかっちゃいねんだな、こちらさんは!サッサと連れて帰ってもらいたいな!」健さん、お金を出して「これで文句ないだろう」
男「あの女、上玉でね、高いんですよ!」
健さん「会っておいでなさい」
男「1時間だぜ!」
健さん「この辺の女の相場を知らないとでも思っているのか!」
おしんに、健さん「2時間でも3時間でも、あっしがついていますから」
おしんは、子供の泣き声のする加代の部屋へ行く。
おしん「お加代さま」と声をかけ、中に入る。
お加代、希望坊ちゃまを抱っこしている。
おしん「希望坊ちゃまのためにお土産と思って、ウエハース持ってきました。バナナもあります」
そこへ女の声で「お客さんだって?坊主よこしな!」
お加代、希望坊ちゃまを、女にあずける。
おしん「ずいぶん、心配しました。どうして知らせてくれなかったんですか?」
お加代「知らせて何になるっていうんだ?」
おしん「おりきさんから、旦那さんが亡くなったと聞いたんです。すぐにでも、酒田へ飛んでいくつもりでおりました。
そうしたら、浩太さんいらして、加賀屋にはもう誰もいないって」お加代「おしん、黙って帰ってくれ。何も聞かないで、このまま帰ってくれ」
おしん「これ、浩太さんから、お加代さまにって、お預かりいたしました。ここを探して教えてくださったのも、浩太さんなんです」と言って、封筒を出す。
お加代「そんなもの、あの人からもうらう筋合いはないよ」おしん「浩太さんは、お加代さまのこと案じておられます。私だって、ウチの人だって。どうか、ここを出られて、ウチへいらしてくださいまし。お迎えに上がったんです。
大奥さま、大旦那さま、どちらにいらっしゃいますか?どうか、ご一緒に伊勢にいらしてくださいまし。およばずながら、私が」
お加代「そんな心配は、いらない」
おしん「お二方とも、私には大恩のあるお方なんです。精一杯のこと、させていただきます。させていただきたいんです!」
お加代「もう、いないんだよ。二人とも。死んでしまった」
そう言うと、お加代は、押入れを開ける。
白い包みが見える。
お加代「親不孝をしてしまって。おれだって、こんなところに置いておくのは、つらいんだよ。
お父さんも、おっかさんも、どんな気持ちで、おれの暮らしを見ているのか。寺にあずけるお金もない。しかたがないんだ。ごめんね。
あの人が自殺して、初めて商品相場で大損したこと知って、どうすることもできなかった。米問屋の方もうまくいかなくて、それを株で穴埋めしようとしたんだけど、あの大恐慌の暴落で、ガタっといってしまったんだ。
加賀屋の財産、総ざらいしたって、借金は整理できなかったよ。仕方がないから、東京へ逃げてきたんだ。
東京に着いて、とりあえず小さな家を借りて、やっとホッとしたら、おっとつぁん脳卒中で、そのまんま。
今までの心労が祟ったんだな。
だけどな、苦しまないで逝ったんだから、かえって良かったかもしれない。
お葬式もしてやれないで、おれは、また仕事を探しに走り回ったんだ。
だけど、この不景気だもんな。
まともな商売なんて、あるはずがない。仕方がないから、昔、勤めていたカフェ、あそこへ行ったんだけど、30女には無理だったんだよ。
そんな時にな、おっかさんも倒れてしまって、3月くらい入院していた。大きい発作があったとかで、おれ、おっかさんの死に目に会えなかったんだよ。
入院費に困ったもんで、ここで勤めててな。出られなかったんだ。
今時500円も前借させてくれるところ、ないからな。
それに、ここなら希望を連れてきても良いって言ってくれたんだ。
希望だけは、どんなことしても手放せなかったんだ」
おしん「希望坊ちゃまを、ここでお育てになるおつもりなんですか?」
お加代「仕方がないだろう。おれは、希望がいるだけで、他には何にも欲しいモノはありゃしない。
それだけで生きているんだもの」
おしん「無茶です。なんとかしますから」
お加代「おしんこそ、この不景気だから、店だって楽じゃないんだろ?
人のことなんて、かまってないで」
おしん「お加代さま?」
お加代「バチ、当たったんだ。おばあちゃんや、親を泣かした報いだ」
~中略~
場末のカフェ
お加代、酒を飲んでいる。
客「おい、もういい加減にしてよ。こっち、来いよ」
お加代「今夜はね、飲みたいのよ」
お加代、咳をする。
女「酒だよ」
お加代「は~い」と言って出る。
女「アンタ、胃が悪いんだろ?一番良くないんだからね、お酒は」
お加代「何のために生きているんだか、わからないのに、体のこと気を使ったってしょうがないだろう。希望は?」
女「もう、寝ちまったよ」
お加代「ちゃんとお守してやってね。アンタにおしめ替えられると、お尻、ただれちゃって、かわいそうなんだから」
女「ほら!客が待ってるじゃないか」
お加代、酒を飲む。
おしん、着物をたたんでいる。
どうしたら、加代を救うことが出来るだろうか。おしんは、その夜、まんじりともせず、加代と希望のことを考えていた。つくづく自分に力のないのが、悲しいおしんであった。
参照元:
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前置きレビュー
女郎
健さんの話しでは、お加代が働いているところは、女郎にもなれない女が金のために働いているところ。
しかも、女郎は、契約期間が過ぎれば、やめられるけれど、お加代のいる店は、最初に借りたお金の利息が雪だるまのように膨れて行く店なので、底なし沼のようだと言うのです。
500円
ウィキペディアを見ると、浩太は加代に100円(※現在の約20~30万円)をおしんに差し出すとあるので、お加代が借りたのは、だいたい約100~150万円くらいです。
感想
修羅場のような
健さんが、場末のカフェの主人に「黙って連れてくればいいんだ!」と荒げた声を張り上げ、おしんのこわばる顔がいたたまれません。
おしんは、子供の頃から苦労をしたとは言え、中川材木店や佐賀はともかく、人から守られてきました。
情け容赦のない、薄暗いところに、大切に育てられたお加代さまが、いるなんて考えたくもありませんが、現実のようです。
女郎に身を落としたお加代さまが現れますが、むごい姿に涙が出ました。
それにしても、場末のカフェの店主を演じた河原さぶさん、いい演技でした。
「あの女、上玉でね、高いんですよ」
決まった!
ウエハース
健さんの凄みの入った交渉で、お加代さまと会えることになったおしんは、希望坊ちゃまのためにと「ウエハース」を持ってきたなんて言うじゃないですか!
「ウエハース」って、大根飯で育ったおしんが、そんなしゃれたものを持てるようになったんですね。
おしんの口から「ウエハース」は、うれしいです。
おしんとお加代さまの関係
お加代さまは、おしんとは兄弟のようにして育ったと言うけれど、どんなに落ちぶれても、おしんにとって、お加代さまは、奉公先のお嬢様です。
そのお加代さまの変わり果てた姿に、これまで見たこともない、恐れをなしたかのようなおしんの表情すごい。
田中裕子さんは、七色どころか、微妙な多面性を持っていますね。
お金を差し出し、どこまでも低調に出る姿は、幼い時から奉公したことで見に着いたものですが、兄弟愛とか友情とも違います。
今のお加代さまを最大限尊重しようとするおしん、人として偉いなと思います。
お加代さまは、何もかも諦めたかのような表情で、押入れから清太郎とみののお骨を見せますが、お骨の置き場が押し入れなど残酷です。
健さんが、お加代さまの立場を説明しますが、お加代さまのいるところは、女郎にもなれない女が、お金のために入ったものの、最初借りたお金の利息が雪だるまみたいになって、出るに出れなくなる、最低のところなんです。
当時の30と言ったら、もう売れ残り扱いです。
仕事があるだけましとは言え、抜けられない場所で、人生終わったも一緒です。
1000円あれば、何とかなると聞いたおしんの真剣なまなざし。
300円で家を建てたおしんなら、1000円くらい何とかなりそうだと、期待してしまいます。
蓄音機から流れるピアノの音色が、お加代さまの今の境遇のもの悲しさを倍増させます。
そしてせき込むお加代さま、もしかして結核なのかと心配になります。
どうして、この当時の女の人の歌声は、お加代さまの人生とだぶるような、はかなく聞こえるんだろう。
それにしても、今日の回が、最高視聴率と言ってもいいように思うのだけど、平日の分低かったのかな。
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