2019年11月28日(木)
あらすじ
おしん(田中裕子)が引っ越してきた家は、旧家のたたずまいを残した広い屋敷で、立派すぎて、おしんは落ち着かないうえに、なぜか不安な予感さえしてならなかった。どうしてこんな家に入れたのか、おしんは、竜三(並木史朗)のしていることが不安でした。
しかし、竜三の事業への意欲は、田倉家に平和な雰囲気を与えています。
新しい家での一家だんらんの春休みが終わると、おしんは衣料品の縫製工場へ通うようになります。
参考:Yahoo!テレビ
おしんキャスト
田中裕子、並木史朗、冨塚規政、長島裕子、内田慎一、萩原等司、野竹和子
おしんあらすじネタバレ
田倉家
おしん「いくらやっぱり、この家は、分不相応じゃないの?」竜三「まだ、そんなことを言っているのか?」
雄「無理ないよ。連隊に魚をおろすだけでも、今までの魚屋とはケタの違う商売になったのに、すぐかまぼこの工場を始めて、今度は衣料品工場だろ?
どれだけの金がかかるかわからないのに、その上、こんな家に入ったんじゃ、誰だって心配するよ」
竜三「父さんだって、無茶なことをしているワケじゃないんだ。事業って言うのはな、大きくなればなるほど、金がかかるが、それだけ利益が大きくなるんだよ」
おしん「でも、いつもうまくいくとは、限らないでしょう?」
竜三「しかし、軍の仕事をまじめにやっていれば、潰れるなんてことはありゃしない。そりゃ、日本に軍隊がなくなってしまえば、どうなるかわからないが、たとえ今の戦争が終わったって、軍隊がなくなるなんてハズはないんだから。
お前は、黙って俺についてくればいい!雄!お前が大学を出るころには、もっともっと事業を大きくして、お前に渡してやるからな!」雄「僕だって、学生のウチは兵役を許してもらえる。卒業したらどうなるか」
おしん「冗談じゃないわよ、雄。アンタ、今度で高等学校2年でしょう?大学卒業するまでには、5年もあるんだもの。
そんな長い間、戦争やられてたまるものですか?」
竜三「そりゃそうだ、早く終わってもらわないと、日本は自給自足できる国じゃないからな。それは、政府だって100も承知しているよ。長引かせる道理がない。
もっともウチは、戦争のおかげで儲けさせてもらっているようなものだがな」
おしん「イヤなこと言わないでくださいよ」
竜三「いやーこんな家を我々が借りられるなんて、戦時下だからこそだ。
軍が将校用に借りたんだが、借り手がなくて、遊ばすのはもったいないからと貸してくれたんだよ」
おしん「あら、お家賃は?」
竜三「ちゃんと連隊に払っているよ」
おしん「また、軍のお世話になっているんですか?」
雄「どういう人の家なの?金持ちなんだろうな」
竜三「あぁ、なんでも軍関係の仕事をしていて、家族を連れて永住するそうだ」おしん「じゃあ、いつかお帰りになるのね?」
竜三「今は、向こうに永住すると決めているんだよ。話しによっては、売るつもりになるかもしれないな。お前が、欲しいなら買ってもいいよ」
おしん「私、とてもこんな大きなお屋敷、落ち着かなくて」
竜三「どこまで貧乏性にできているんだ、お前は」
雄がおしんに「お父さんは、たしたもんだね」
おしん「前は、いろいろ相談してくれたのに、このごろは全然。なんでも一人で決めて、一人で切り回して、母さんが何か言おうものなら、すぐ怒鳴られるんだから。父さんも変わったわ」
雄「いいじゃないか、母さんが何もかもしょって、一人で苦労してきたんだ。これでやっと楽になれたんだから」
おしん「父さんに愛想つかせて、雄と二人きりで、生きていこうと思ったときあったけど、その父さんに、こんな事業の腕があるとは、思いもよらなかった。
ただね、母さん、軍に取り入るのがイヤなんだけど」
雄「そんな風に言っちゃ、父さんがかわいそうだよ。その時代によって目端の利く商売をするのは、商人の才覚ってものだし、軍の仕事だからと言って悪いことをしているワケじゃないんだ。
父さんは、父さんなりに軍に奉仕しているんだ。
父さんの言葉じゃないけれど、お国のためにもなっているんだから。
今、平和産業は軍事産業にどんどん吸収されている。
そんな時に一匹オオカミで生きているなんて、立派だよ!父さん!母さん、今は軍の仕事をしないと生きていけない時代なんだ。父さんだって、それがわかっているから。黙って、父さんについて行けばいいんだよ!じゃ、久しぶりに父さんの背中でも洗うか!」
竜三が、仁と希望たちと、ご機嫌よく風呂に入っている。
雄が、風呂に行こうとすると、初子と鉢合わせになり「初ちゃん、良かったね。家事をおぼえることもいいけれど、本を読む習慣をつけるといい。
女学校へ行かなくても、本は、いろんな人生を教えてくれる。
初ちゃんに、読んでほしい本を持ってきた。戦争で、みんな心がカサカサしてきている。
こんな時だから、自分を見失わないように本を読むんだ」
竜三が、砂糖とマッチと味噌を持って帰ってくる。
おしん「いいんですか?こんなに?」
竜三は、天ぷら油を分けてあげたら、もらったと言うが、おしんは、油は、かまぼこ工場のために割り当てられたものだと問うと、竜三は、「ちゃんと軍に注文されたものを納めればそれでいい。
その上で、油があまったら、何を使おうが、私たちの勝手だ。
闇で売ったり買ったりしているワケじゃない。
私は友情で、彼に油を送り、彼は友情で砂糖や味噌やマッチをくれたんだ」
おしん「でも、軍のモノを横流ししていることには、変わらないでしょう?
それが人の耳にでも入ったら?」
竜三「誰でもやっているよ!それに人に知れたら、マズイことくらい承知しているよ!」
おしん「なんだか、いやーね。私たちばかり、ぜいたくしているみたいで」
竜三「配給ばかりで生活をしていたら、今に飢え死にするときが来るよ!炭だって切符制になると言うし、いずれは米だって。そんな時が来ても、軍の仕事をしていれば、子供たちを飢え死にさせることはない。風呂は、沸いているか?」
おしん「今日は、お休みしました」
竜三「薪なんて、ケチケチするな!」
おしん「ご近所の手前です。ウチばかり、毎日お風呂を沸かしていたら、なんて言われるか。煙でわかるんですよ。それより、隣組って言って、今夜集まりがあるそうなんですよ」
竜三「わかった、私が出るよ!」
おしん「助かった。私、気が重くて」
竜三「女が出ても、お茶を濁すだけだ!」
おしん「隣組って何なんですか?」
竜三「町内会みたいなものだ。これからは、住民が一つになって、この非常時を乗り切らないといけない。そのためには、政府の意向が下々までにわたり、政府に協力体制ができていないとうまくいかない。
一人でも、そっぽを向くようなモノや私利私欲のモノが出ないようにね」おしん「みんな、入らないといけないんですか?」
竜三「当たり前だ!国家総動員体制の需要な基礎になる組織なんだ!これからは、隣組が単位になって住民運動にも参加することになるんだからな!」
おしん「ただのご近所つきあいじゃないんですね?」
竜三「そうだ、政府の方針と言っても、命令みたいなモノだからね」おしんは、初子の部屋に行く。
おしんは、初子が、何の本を読んでいたのかとたずねると「万葉集」
おしんは、聞いたことがないと応えると、「大昔の人たちの歌を集めた本なんです。雄さんに、いただいたんです」
おしんは、万葉集を見て「雄も、母さんの知らないこと勉強して、母さんのわからないこと考えて」
初子「私にも、まだ難しくて。でも、一生懸命読んでいると、雄さんがこれをくれた気持ちがわかるような気がするんです。きっと、こういう歌を詠んだ人の歓びや悲しみをわかれということなんじゃないかって」
おしん「いいわね、若いって」
初子「何か?」
おしん「山形のお母さんにね、仕事着にでもしてもらおうと思って、反物買っておいたのよ。正真正銘の木綿。それと少しだけれども、お砂糖もお送りしようと思って」
初子「いいんです。そんな心配」
おしん「たいしたことはできないのだけど、初ちゃんを当てにしていたのに、結局は、ウチでこき使うことになって、せめてお詫びの印に少しでも」
竜三が、隣組の人にあいさつをして、家に入る。
おしん「こんな遅くまで、何の話しを?」
竜三「初めての集まりだ。隣組がなんのために作られるか、てんでわかっていない連中で、ただの親睦会くらいに思っているんだな。
わからせるだけでも、一苦労だったよ。私が、結局、組長をやらされることになった。
忙しい時に、迷惑な話だが、みんなに押されちゃ、イヤと言えないからね。また一つ、仕事が増えちまったよ」
おしん「アンタ、もう、人が良すぎるんですよ」
竜三「まぁいいじゃないか。みんなも私が、軍の仕事をしているっていうんで信用してくれるんだ。
これからは、隣組という仕事は、大きな力を持つことになる。大役だが、大役だけにやりがいもある!役に不足はないよ」たかが隣組の組長になったくらいでと、おしんは竜三の意気込み方にあきれた。
が、この人は、いったいどこまで、この時世に迎合していくのだろうと思うと、ふと背筋に寒いモノを覚えていた。
参照元:
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感想
広いお屋敷
仁が、禎ちゃんを背中に乗せて、お馬ごっこをして遊んでいますが、大きなお屋敷に住めるようになるなんて、地主の三男坊の竜三には、どうってことがないでしょうが、欲のないおしんには驚きでしょう。
竜三は、自分で、これほどの広い家を借りられるぐらいになれて、とても満足そうですが、軍に頼っりっきりの竜三に、おしんは、不安で仕方がないんですね。
しかも、竜三は軍の仕事が上昇気流に乗っているので、おしんの意見など聞く耳持たず。
ドラマとしては、竜三よりおしんが生き生きした姿を見たいのですが、竜三の上機嫌がどこまで続くか、我慢のしどころです。
物分かりの良い雄
軍に頼りっきりの竜三に不満なおしんですが、雄は、ご時世を考えると仕方がないと、おしんを慰めます。
源じい亡き後は、雄がおしんを慰めて竜三との仲を取り持つようになりました。
時代は、常に流れ変わって行きますが、おしんはいつまでくすぶっていないといけなのでしょう。
淡い恋
おしんがくすぶっている間、雄は青春真っ盛り!
自分好みにしたいのか、初子に本を読むようにすすめますが、女学校へ行かず家の手伝いに追われている初子にとって、好きな雄からのすすめられるなんて、戦争の暗さなど、吹き飛びそうです。
横流し
竜三は軍の仕事をしていることで、すっかり調子に乗って、あまった物資で物々交換をしています。
働き手が戦争に行ってしまい、物資が乏しくなる中で、難しいなと思う。
竜三は、自分の特権的な立場に酔っているのだろうけれど、勝つまではぜいたくは敵だと言われている時代に、お構いなし状態で気持が下がります。
何もない時代とは言え、初ちゃんの浴衣姿が、みずみずしく見えます。
隣組
戦争は、あらゆる自由を奪われることでもあると思いますが、国民一致団結しないといけないからと、竜三は隣組に行くことになります。
そう言えば、ドリフの大爆笑で「隣組」の替え歌がありましたが、なんとものどかな曲です。
初子は、雄から万葉集をもらったと言いますが、こんなご時世だからこそと、戦争から遠く離れた万葉集を選んだ雄の気持ちがわからなくないです。
そこへ竜三は、隣組の組長になったと意気込んで帰ってきますが、おしんは、たかが隣組の組長になったくらいでと、竜三にあきれます。
こんな風になるなら、やっぱりおしんは竜三とは一緒になるべきではなかったのかもと思ってしまう。
竜三も、おしんの気持ちを推し量ることもなく、自分さえ満足していればそれで良いのか。
それでも添い遂げることに、何の意味があるのだろう。
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