2019年12月2日(月)
あらすじ
昭和18年秋、20歳の雄(ゆう)は、軍隊へ入隊するために、大学生活なかばで、下宿を引き払い、両親の家へ帰って来ました。
おしん(田中裕子)は、学生の間は兵隊にとられることはないと信じていたので、思いもかけないことでした。
雄の入隊を前に、おしんは入隊のことには触れず、雄も平静に気持ちの整理をしているようでした。
しかし、おしんにとっては、骨身を削るような毎日で、一生でいちばん長いひと月でした。
参考:Yahoo!テレビ
おしんキャスト
田中裕子、並木史朗、冨塚規政、長島裕子、内田慎一、萩原等司、山下陽子
おしんあらすじネタバレ
田倉家
昭和18年秋、文科系学生の徴兵猶予が打ち切られ20歳になっていた雄は、学生生活半ばで京都の下宿を引き払い、両親の家へ帰って来た。学生の間だけは、兵隊にとられることはないと信じていたおしんには、思いもかけないことである。
おしんが、一人でいると、初子がやってきて「どうしてですか?雄さんは、まだ学生なのに」
おしん「戦争が激しくなった、東南アジアから南の果てまで、戦線は広がっているのよ。
兵隊さんがいくらいたって足りないのよ」初子「何も大学生でなくても、他にいくらも」
おしん「今はね、15や16で志願兵になる人もいるのよ」
そこへ竜三が入ってきて「入隊は、12月の1日だ。まだ、ひと月以上もある。それまで、心残りのないように、ウチでゆっくり過ごさせてやったらいいさ」
おしん「その後は、どうなるんですか?」
竜三「いままでは、入隊した部隊で3か月の新兵教育を終えて、大学を卒業している者は、幹部候補生としての教育を受けないといけないのだが。
どっちにしても兵役は免れないのだ。外地へ送られることも、覚悟しないといけないんだろうな」
おしん「じゃあ、入隊する日までしか、好きなことさせてやれないんだ」
~中略~
竜三「しかたがない。壮行会は、中止するように頼んでこよう」と言って部屋を出る。
雄が、下を向くと、おしん「いいのよ。みんな義理で出てくださるだけだから。母さんだって、いままでそうだった」
雄「母さんにも父さんにも、誰にも送ってもらいたくないんだ。ほんとうに一人で行かせてほしい。
何気なく出て行きたいんだよ」
雄が、部屋へ戻ると、初子が入ってくる。
初子「とうとう、これを渡す日が来ちゃった。
つらいから、今日まで渡せないでいたの。
ずいぶん千人針を作ったけど、雄さんのためにだけは作りたくなかったの」と言って、差し出す。
雄「ありがとう」
初子「お元気で、必ず帰ってきてください」
雄「僕は、ずいぶん迷った。このまま胸にしまっておいた方がいいとも思った。
でも、やっぱり初ちゃんには待っていてほしい。
僕は、初ちゃんを終生の伴侶と決めている。
高等学校へ入って京都へ行った時、初ちゃんが、僕にとってどんなに大事な人なのかわかったんだ。
初ちゃんが好きなんだよ。
いつ結婚できる時が来るかわからない。
待ってくれと言ったって、二度と会えないかもしれない。
それでも待っていて欲しい。
初ちゃん!」
初子「私も、待っているつもりだった。必ず、元気で帰ってきて」
雄と初子、抱擁。
雄「帰ってくる。初ちゃんが待っていてくれるなら」
おしんが、雄の部屋を見て、二人の様子に引き返す。
雄は「では」と言って家を出る。
盛大な見送りもなく、雄は一人で田倉家を後にした。
おしんは、雄の気持ちを大切に思うことで、送ってやれない母親の切なさに堪えていた。
参照元:
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禎役山下陽子
第211話から、禎役だけが代わります。
禎を演じるのは、山下陽子さん。
前置きレビュー
この時代のお父さん
結婚前は、大正デモクラシーだから、身分は関係なく結婚ができると、理解ある様子の竜三でしたが、「意味がないとは、なんだー!」と、すっかり、この時代の頑固なお父さんになっています。
とは言え、「壮行会は、中止するように頼んでこよう」ですか。
これが寺内貫太郎だったら、烈火のごとく怒っている案件と思われる。
『寺内貫太郎一家』表紙&帯
サンケイノベルス当時、これを読んでからドラマを見たら百倍面白かった。向田氏の才能と視点・感覚にはただただ圧倒される。#西城秀樹 pic.twitter.com/vSAXyfHZsf
— NYG-RAR (@NygRar) January 17, 2019
感想
意地
さすがのおしんも雄が戦争へ行くことは諦め、やるせない虚無感に陥っているようです。
雄は、「勝って行くぞと勇ましく」ではありませんが、腹をくくって、初子におしんのことを頼む姿が、さわやかであるほど切ないです。
おしんにとって雄は、初めての子で、苦労をしてやっと育てた大事な息子です。
どんなに叫んでも、雄は、戦争へ行ってしまいます。
現実が現実でないような、ただただ、自分の中で諦めなければと、そんな思いが渦巻いているのかもしれません。
雄は、おしんのつらい気持ちを慮ったのか、壮行会を辞退しますが、それが雄のやさしさ思いやりなんでしょうね。
若い二人の想い
雄にとって、初子は、幼い日からずっと、そばにいてくれた、かけがえのない存在です。
おしんが、初子を引き合わせたと言っても良いのかもしれません。
雄は、初子への想いを告げますが、それは初子も同じ想いでした。
絶対、生きて返ってきて欲しいと思わずにはいられません。
やるせない思いでいるおしんとは言え、二人の寄り添う姿に、希望を見たのかもしれません。
そう言えば中曽根元首相
学徒出陣することになった雄ですが、「おしん」が放送されていた1983年と言うと、ちょうど先日お亡くなりになられた中曽根康弘元首相が現役だったころでした。
中曽根元首相は、真珠湾攻撃のあった昭和16年、東京帝国大学を卒業して内務省に入省しますけれど、時代が時代なだけに海軍に入りミンダナオ島で戦うことになりますが、そこでたくさんの戦友を亡くしたそうです。
戦地へ行って生き延び、その後、中曽根元首相のように地位を築かれた強運な人もいます。
まさか今年になって「おしん」の再放送が放送されているこのタイミング、時代に呼応するかのように中曽根元首相が亡くなるなんて、しかも、10日ほどで真珠湾攻撃のあった12月8日です。
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