2019年12月3日(火)
あらすじ
雄(ゆう)の入隊を前に、おしん(田中裕子)は入隊のことには触れず、雄も平静に気持ちの整理をしているようでした。
そして、盛大な見送りもなく、雄は、ひとりで田倉家をあとにします。
しかし、おしんは雄の気持ちを大切にすることで、見送ってやりたい母親としての気持ちを抑えこみます。
雄が去ると、おしんには、ただ雄の無事を祈るだけの日々が残されました。
おしんにとって、身を切られるようにつらい毎日でした。
参考:Yahoo!テレビ
おしんキャスト
田中裕子、並木史朗、冨塚規政、長島裕子、内田慎一、萩原等司、斉藤洋介
おしんあらすじネタバレ
田倉家
学生の徴兵猶予が打ち切られ、学業半ばで入隊した雄は、新兵としての教育を受けることになった。
雄の様子もわからないまま、やがて昭和19年、5月になっていた。
食卓。
おしん「雄は、どうしているんでしょうかね?なんかしてやりたくても、何にもできないんだもの。
食べるモノくらい、ちゃんと食べさせてもらっているのでしょうかね?」
竜三「そんなこと、気にしたってしょうがないだろうが。雄は、お国に差し上げた息子だ。いい加減に、あきらめたらどうなんだ?」
おしん「新兵教育ってつらいって言うから、病気でもしていなければいいけれど、元気な顔さえ見えたら、私も安心するんですけど」
竜三「何度、同じことを言ったら気が済むんだ!女々しいにも、ほどがある!」
おしん「母親の気持ちなんか、父さんわかりゃしませんよ。私たちは、なんとか食べるモノはありますけど、雄が不憫で」
竜三「ウチだって、いつまでモノが手に入るかわかりゃしないよ。学校が、軍需工場になるような非常時だ。
仁だって希望だって、いつまでも腹いっぱい食べられると思ったら、大間違いだ!国民がしんぼうして、何が何でも、この戦争に勝たなければならないんだ!
ウチでも、そのつもりで代用食に慣れないとな!」
仁「僕、すいとんだけはイヤだよ!サツマイモも、ごめんだよ」
竜三「そんなぜいたくは、言っていられなくなるんだ。東京や名古屋じゃな、空襲に備えて、灯火管制はもちろん、大がかりな防空演習も行われている。クヨクヨしている時ではないんだ」
仁「どうせ勉強できないなら、僕も早く航空隊に入りたいな。軍需工場なんて、うんざりだ!」
おしん「仁!」
竜三「そんなに焦ることはない。黙っていたって軍隊にとられる時は来るんだ」
郵便屋さんが、雄からのハガキを届けに来る。
~中略~
面会
朝早く、面会のために家を出る初子。面会に行くおしんに、竜三は、何かあった時のためにとお金を渡します。
面会に、雄が現れます。
雄「僕も甲種幹部候補生になりました。まもなくここを出て、陸軍予備士官学校へ入校します」
おしん「じゃあ、まだ内地にはいられるのね?」
雄「こんな時局だから、先のことはわからないな。とにかく、僕のようなものまで、慌てて将校にしないといけないなんて、よっぽど将校が足りないんだね」
おしん「新兵教育もつらかっただろうに。ひもじい思いもしなかったかい?」と言って、作って来たおはぎを差し出す。
雄は、「ほんとうにうまいよ」と言って、おはぎを食べる。
おしん「缶詰とか下着とかも、知らせてくれたのが昨日なんだもん。今度は、もっと早く知らせてよ」
それからと言って、お金を渡そうとしますが、雄は、「ここは、軍隊で、余計なモノは一切持ち込めない。持ち物を調べられたとき、こんなものが出てきたら、僕だけではなく、班の連中、みんなやられるんだよ。革のスリッパで往復ビンタをされ、気を失うヤツだっているんだよ。そこへバケツの水をかけて、そんなこと、序の口さ。そんなことで音を上げていたら、生き残れないよ」
おしん「お前、軍隊でどんな目に合っているの?」
雄「心配ないよ。そうだ、家族が満州にいて、誰も面会に来ない仲間がいるんだ。彼に食べさせてやってもいいかな?」
面会場の外で、雄の仲間が、おしんに「今日は、ありがとうございました。おはぎなんて、ほんと久しぶりでした」
おしん「川村さんのような方がいると、どれだけ心強いか。どうか、雄のことをよろしくお願いします」川村「自分の方が、世話になっております」
おしん「今度、面会の時には、川村さんの分もこしらえてくるから」
雄「こいつとは、生きるのも死ぬのも一緒だろうから。じゃあ、僕たちは時間だから」
おしんと初子に礼をして立ち去る。
つかの間の面会であった。
再び、おしんには手の届かない世界へ去っていく。
雄の後ろ姿を見送りながら、情け容赦もなく、息子を母親から奪い去っていく戦争と言うものを、その時、心底おしんは憎んでいた。
参照元:
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斉藤洋介さん
言わずと知れた、斉藤洋介さんですが、「おしん」に出演の時、32歳。
田中裕子さんは、当時28歳なので、4つも年上!
息子の戦友の役で、どうして、このキャスティングなんだろう?
感想
母親の思い
母親の純粋な親心だと思いますが、おしんは出征した雄が、ちゃんと食事をしているのか心配でたまらないのでしょう。
それと引き換えに、仁は「すいとんやさつまいもはいやだ」と、ごねていますが、仁の元気さが、戦争の暗さを吹き飛ばしてくれます。
雄と面会
雄が戦争へ行ってしまうことになり、悲しい別れになってしまいましたが、面会できる時がやって来ました!
おしんは雄のために、おはぎを作ってあげていますが、動作といい表情といい当時の日本のお母さんという感じ。
田中裕子さん、ほんと演技うまいです。
おしんは初子の気持ちを思い、竜三の反対など、どこ吹く風とばかりに、面会へ行くようにと告げますが、初子は、うれしいでしょうね。
誰に遠慮することなどないのです。
おしんは、竜三に、初子は、今朝は工場に早く用があるから出かけたとうそをつきますが、竜三は、うそだとわかっています。
内心「相変わらず、俺の言う事きかなねーよなー」と思っていそう。
笑顔で面会室に入って来た雄を見る初子とおしんは、この上なくうれしそう。
雄のおはぎを食べる姿を食い入るように見て、おしんは、とてつもなくうれしそうな表情をしますが、言葉は悪いけれど、洗練されていない、この当時のお母さんを、うまく表現しているなーと思います。
今のように、自由で何でもあって楽しめる時代じゃないから、子供の成長だけが、うれしくて楽しみだったのだと思います。
雄は、食べきれないおはぎを戦友にも分かて上げると、どんな状況でも思いやりのあるいい子です。
おしんは雄と別れのあいさつをしますが、名残を惜しむように「雄」と声をかけます。
雄は、毅然として敬礼をしますが、これが最後にならないと良いと願ってしまいました。
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