2019年12月6日(金)
あらすじ
昭和20年が明けました。
南方へ送られたという雄(ゆう)からは何の便りもなく、ひとりで予科練を志願して、三重海軍航空隊に入隊した仁も訓練に追われてゆっくり手紙を書く暇もないらしく、面会さえ許されませんでした。
東京をはじめ、主要都市への空襲は日を追って激しくなり、おしん(田中裕子)は、疎開させた禎(てい)の様子を見に行く心のゆとりもなく、あわただしく毎日が過ぎてゆき、その年も春を迎えようとしていました。
参考:Yahoo!テレビ
おしんキャスト
田中裕子、並木史朗、長島裕子、内田慎一、萩原等司、山下陽子
おしんあらすじネタバレ
田倉家
昭和20年が明けた。
慌ただしく毎日が過ぎて行き、その年も春を迎えようとしていた。
竜三「3月10日の東京の空襲は、かなり厳しいものだったらしいね。下町は、ほとんど焼け野原になって、犠牲者がだいぶ出たって話だ」
庭に掘ってある防空壕を見て、おしん「こんな防空壕でだいじょうぶなんでしょうかね?」竜三「防空壕に入れておいた方が、あらかた助かったと言う話しだが、もう少し頑丈なのをこしらえておけば良かったな。今となっては、どうにもならないが」
おしん「あん時は、まさかって気持ちがありましたからね。
日本がこんなことになるんだったら、南方に行っている雄の方が、よっぽど安全かもしれませんね。
禎も、疎開させて良かった。様子見に行ってやりたいけれど」竜三「なるべくしんぼうさせた方がいい。母親の顔を見たら、どうしても里心がつく。
かえって罪だ」
おしん「手紙では、元気でって書いてあって安心しています」
竜三「またついでがあったら、砂糖やせっけんを届けておくよ。手に入るかもしれないからね」
おしん「お願いします。禎には、ひもじい思いをさせたくないもの。ねぇ仁の様子をお願いします。
そりゃ、仁のこと諦めているんですけど、ただいつ訓練が終わるのかと思って。訓練が終われば、特攻隊として、やっぱり出撃するんでしょ?」竜三「いくら飛行兵が足らないからと言って、急に出て行くハズはない。その時が来たら、仁の方から知らしてくるよ」
そこへ禎が現れる。
おしん「禎!」
禎、食事をしている。
竜三「禎、お前、おじさんやおばさんに黙って出てきたのか?」
おしん「汽車の乗るお金はどうしたの?」
禎「知らないおばさんにくっついて、タダで乗ってきた。もう帰らないよ!」
おしん「何があったの?いつも元気で楽しく暮らしているって、手紙で」
禎「あれは、そばにおばさんがついていて、うるさいから。お雑炊だって、私には、一膳しか食べさせてくれないのに。お腹一杯食べてるって書けって」
竜三「そんなバカなことがあるもんか?禎には、不自由させないために、お父さんできない無理をして、あの家には手に入らない物資も、ちゃんと届けているんだ!」
禎「ほんとだもん!禎は、ちゃんと我慢した!」
おしんが、禎の頭を見て「シラミが、いっぱい!お風呂は、入れてもらってないの?洗濯もしてもらってないじゃないの?」
禎「どんなにお腹がすいていても、寂しくても、我慢したの!でも、もうイヤ!」
おしん、禎を抱きしめて「こんなつらい思いをしているなんて、ちっとも知らなくって、もうどこにもやりゃしないよ禎。空襲で死ぬんだったら、みんなで死ねばいいんだ!
みんなで、ここにいよ!今日、お風呂炊てような!白いご飯いっぱい炊こうな!」
竜三「禎、今夜は仕方がないけれど、明日は帰るんだぞ!」
おしん「アンタ?」
竜三「甘やかすのも、いい加減にするんだな!つらい思いをしているのは、禎一人じゃないんだ!疎開している子どもたちは、みんな禎と同じような思いをしているんだ!」
おしん「あそこの家にですか?取るものだけ取って、禎にこんな思いをさせて、話しが違うじゃないの?」
竜三「みんなだってつらいんだよ。食うものがなくなったら、人だって変わるんだ。それを責めては気の毒だよ。禎さえ安全なら、ありがたいと思わなきゃ!禎!お前だって、それくらいのこと、しんぼうできないようじゃ、母さんだってな、小さい時、お前より、何倍もつらい思いをしたんだ!」
おしん「私は、小さい時、そういう思いをしたから、子供にはさせたくないんです!
だから、がんばってきたんじゃないですか?でも私、誰も守ってやれなかった。雄も仁も禎も!戦争さえなかったら!」
竜三「おしん!」
~中略~
おしん「初ちゃん、防空壕入るしたくするよ!」
初子「私、入りません!いちいち気にしていたら、寝る暇がないもの」
希望「空襲より、寝不足の方が、怖いもんね」
竜三「みんな、警報慣れしてしまって。町内見回ってくるからね」
出て行こうとすると、竜三「空襲警報だ!明かりを消して!敵機が襲来したら、すぐ防空壕に入るんだ!」
おしんは、「雄や仁や禎が帰るとき、この家がなかったらどうするの?」
初子「だったら、私が!母さんにもしものことがあったら、私、雄さんたちに顔向けできない!」
希望「そうだよ!ここは、初ちゃんと僕たちで、必ず守るから、母さんは逃げて!初ちゃん、水の用意はいいか?」
おしん「防火用水だけじゃ足りないから、あるものにみんな水を入れて!」
砲撃され、家に火がつき、おしんたちは消火活動を始めます。
竜三「むだだー逃げろーーー」
おしん「アンタ、あれはウチ工場!」
竜三「諦めるんだ!グズグズするな!逃げろ!」
おしんは、屋根の上の火を消し始めます!
それは、おしんの執念でだった。
雄や仁や禎が帰って来た時、温かく迎えてやる家を守るのは、母親の努めだと信じていたのである。
終戦も間近い7月の夜のことである。参照元:
感想
すっかり中年夫婦
いつ空襲が来るかわからないので、家財道具を、防空壕に入れる準備をするおしんと竜三は、すっかり中年の夫婦になりましたね。
禎は疎開、雄は南方、仁は、突然少年兵と、おしんは気の休まるときがないと思います。
と思っていると、禎が真っ黒な顔をして現れます。
佐賀にでも疎開させていれば良いのに、やっぱり他人の家になんて預けるからいけないんじゃない。
融通のきかない竜三は、それでも他人の家に行けと言います!
だったら、佐賀へ行かせればいいのに!!!
おしんは、禎を必死でかばおうとしますが、すっかり頑固おやじと化した竜三は、そんなおしんをこづきます!
竜三の思わぬ行動に驚きますが、生きるか死ぬかの状況で、甘い事は言っていられないという態度なのだと思います。
それはともかく、涙ながらに母の親心を精一杯演じる田中裕子さんの姿に、心を動かされてしまいました。。。
障子ごしのおしんの姿が、なんとも日本的な風情でじんわりときますが、影絵のようなこの演出と展開、素晴らしいです。
頼もしい初子
空襲がなるたびに、防空壕に入っていたら眠れないと、初子は、防空壕へ入ることを拒否します。
こういう開き直りというか、頼もしいです。
竜三も、空襲が来たときの指示を的確にして、いざとなった時の心の準備は、ちゃんとしています。
さすが、性根のすわったおしんは、空襲が来たからと言って防空壕に逃げることはせず、雄や仁が帰って来た時のためにと、家を守ると言います。
自分の命を顧みず、これが本当の親心というものでしょうか。
管理人は、ことに第二次世界大戦もの苦手なのですが、田中裕子さんの熱演に、つい見てしまいました。
皮肉にも終戦まで、あとわずかのことです。
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