2020年5月21日(木)
はね駒キャスト
斉藤由貴、樹木希林、小林稔侍、柳沢慎吾、田武謙三、綿引勝彦、岡本茉莉、小野ゆかり、丹阿弥谷津子、山内明
はね駒 あらすじ ネタバレ
りんが帰省して、わずか10日ほど過ぎた明治27年(1894)8月、日清戦争が始まります。
相馬からも、若者がどんどん出征し、あちこちで万歳の声が聞こえるようになります。
りん(斉藤由貴)の父の弘次郎(小林稔侍)は、自分たちを賊軍とした薩長の新政府が始めた戦争には協力しないと機嫌を悪くします。
一方、妹のみつ(小野ゆかり)を嫁にほしいという吉川家は、いつ働き手を戦争にとられるかわからないので、この秋にも祝言をすませ、一日も早く息子に跡取りが欲しいから急いでいると、六波羅が伝えます。
母のやえ(樹木希林)は、縁談に対しはっきりした態度を示さない弘次郎にいらだちをぶつけます。
ある日、徳右衛門が軍夫として戦地へ行って、兵隊の手助けをすると言い出しますが、みんな反対して引き止めようとします。
そこへ、兄の嘉助(柳沢慎吾)が3年ぶりに帰ってきます。
やえが、りんに「年寄りが、あんなことを言い出す気持ちがわかるか?じいさまは、死ぬ前に花を咲かせたいんだよ。今、満足して生きていないと言うこと。
親孝行だと思って、二本松から相馬へ来てもらったが、年寄りを安心させてあげられないのは、親孝行にならない」
りんは、やえの嫁としてのつらさを感じます。
前置きレビュー
不安なおりんちゃん
妹のおみっちゃんの縁談が持ち上がりましたが、会ったこともない相手のところへ嫁ぐことを、おりんちゃんは心配します。
賛否があると思いますが、昔は、当人同士よりも、家と家の結びつきで結婚をすることが、家を守って行くためと考えられていたようです。
女学校で、西洋のことを学んでいるおりんちゃんには、古いしきたりが、野蛮なものに思えたのでしょうか。
しかし、やえさんは気丈です。
おりんちゃんの不安などものともせず、毅然としています。
戦争錦絵
確か「おしん」で圭ちゃんが、昔は、人生のやり直しがいくらでもできると言っていたと思います。
商売替えなど、今よりも簡単にできたのか、おりんちゃんの兄の嘉助は、なかなか地に足のついた状況にはなっていません。
戦争錦絵を売る商売をしていると言います。
日露戦争の錦絵。
尾形月三「日本海之海戦」
駆逐艦の乗員の描写が細かい。
太田記念美術館(監修)、日野原健司(著)「戦争と浮世絵」より。(続) pic.twitter.com/oPquXLPxlT— とりあえず無月庵(風月堂) (@MoonCottage) July 5, 2019
印刷技術とか、それほど高度なものがなかったのだと思いますが、写真週刊誌のようなものだったのかもしれません。
こちらは日清戦争のもの
日清戦争の錦絵を発見 来月公開へ 渋川金島小で115枚 – https://t.co/naaAtrchdW pic.twitter.com/okGwH6qzIs
— きたかんナビ (@kitakan_navi) January 26, 2017
感想
弘次郎の思い
明治27年(1894)8月、日清戦争が始まりました。
大工の幸助や徳右衛門は、絶対この戦争は負けてはならないと真剣に話をしています。
幸助は、この前までは、サムライでないと戦には行けなかったが、今は鉄砲が持てれば誰でも行けるから、若ければ行ったのにと悔しそうです。
徳右衛門も、戊辰の役で理不尽に着せられた賊軍の汚名を、この戦で晴らせるものならと話します。
弘次郎は、薩長による新政府から賊軍の汚名を着せられたので、その新政府が始めた戦争のために命を投げるなど毛頭ないと反発します。
弘次郎の気持ちは、なんだかとってもわかります。
命がけで戦ったのに、いつまでたっても悔しさから逃れられないようです。
そんなことはお構いなしに、幸助は、兵隊にならないまでも雑用などを手伝う人夫・軍夫の話をすると、徳右衛門は、食い入るように案内を見て、弘次郎とは本当に対照的です。
やえさん怒る
駐在の六波羅さんが、おみっちゃんの縁談相手が、いつ出征してしまうかわからないから、後継ぎを早く産むためにも、秋には祝言を挙げたいと伝えます。
8月なので、秋と言ったら、もうすぐです!
女にとって嫁ぐことは一生の話しだから、黙っていられないと真剣ですが、弘次郎は、返事をしようとしないので、やえさんは怒りをぶつけます。
口数が少なくて、都合が悪くなると怒鳴る弘次郎は、メンドクサイ昔のおとっつあんです。
話が終わらないうちに、ばあさまが、何やら騒がしいです。
徳右衛門ご乱心!
どうしたのかと思ったら、徳右衛門が、軍夫に志願すると言います。
「ただこのまま朽ちて行くよりも、命をかけて何かをやって人生を締めくくるのも悪くはないだろう!」
徳右衛門の命の叫びに、誰も止められないと思っていたら、嘉助が3年ぶりに帰って来たことで、嘉助に持って行かれちゃいました!
「おしん」のラシャ問屋を営んでいた竜三を思い出すような、真っ白ないで立ちで、ずいぶんと羽振りが良さそうです。
戦争やおみっちゃんの縁談で、陰鬱としている弘次郎と違い、扁平足のおかげで戦争に行くことは免れ、戦争の錦絵を売っていると、相変わらずチャラチャラとしています。
弘次郎は、嘉助の様子にただ仏頂面で黙っていますが、どうして黙っているのかわからないです。
うだつの上がらない古物商を営んでいても、黙っている徳右衛門にならい、現実を淡々と受けとめようとしているのかな?
嘉助は、弘次郎の顔色など、微塵もうかがおうとせず、得意になってバイオリンを弾き始めますが、割れるような音色しか出せずカッコだけです。
やえさんは、いたたまれなくなって井戸端へ行ってしまいます。
軍夫になると言い出したじいさまに、やえさんは、嫁としての至らなさを情けなく思っているところへ、相変わらずの嘉助です。
人間は簡単に変わらないことを思い知らされ、ほとほといやになってしまったようです。
思い通りにならないのが人生だと言っても、嘉助の得意になっている話を聞くよりも、できることを淡々としている方が、気がまぎれるなんて、親として切ない。
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