2020年6月30日(火)
はね駒キャスト
斉藤由貴、樹木希林、渡辺謙、小林稔侍、矢代朝子、笠松長麿、渡辺寛二、丹阿弥谷津子、北城真記子、山内明
はね駒 あらすじ ネタバレ
りん(斉藤由貴)は、やえさん(樹木希林)と職探しの途中、「通い女中入用(いりよう)」の貼り紙を見つけ、その家に飛び込みます。
そして、乳母として奥向きのことは全部してきたというキク(北城真記子)に採用されます。
帰宅し報告すると、徳右衛門(山内明)やばあさま(丹阿弥谷津子)は乗り気でありませんが、弘次郎(小林稔侍)は、「お前が納得しているならよかろう」と許します。
そこへ小野寺源造(渡辺謙)が訪ねてきて…。
前置きレビュー
通い女中
「通い女中」とのことですが、江戸時代のころは、住み込みの女中(お手伝いさん)が主流だっそうです。
武家屋敷や宮仕えは、御殿女、奥女中と呼ばれていました。
ドラマが放送された1986年4月に、男女雇用機会均等法が施行されましたが、それ以前は、女子の就職率は低かったというか、大卒でも仕事があまりなかったらしいです。
作家の林真理子さんも、何十通と履歴書を書いたと言います。
明治のころは、女学校を出ているからと言っても、すぐに仕事が見つかるような時代ではなかったのでしょうね。
おしんのように商売が出来ればですが、人それぞれ才能や出来ることが違います。
ちょうどBSで「ムー一族」の再放送がありますが、樹木希林さんが、住み込みの家政婦さんとして出演しています。
ドラマの中で、樹木希林さん演じる金田さんが「あの子、高卒でそろばんができる」と嫉妬しているシーンがありますけれど、それを思うと、英語が出来て女学校を出ている、おりんちゃんが家政婦さんだなんて、「ムー一族」だったら、金田さんにビンタされそう。
ともかく、確かに女学校では給費生としてまかないの手伝いをしてきたので、遠くはありませんが、女学校のまかないの手伝いと、個人の家の家政婦さんとでは、気遣いのレベルが違いそうです。
とは言え、住み込みではなく通いなので、雇い主の家庭内事情を必要以上に知ることもないでしょうから、少しは気が楽だと思います。
令和の時代のように、カリスマ家政婦さんとして、本を出したりできるほど活躍できたら、また違うのかもしれませんね。
感想
骨のある乳母
「通い女中入用」の貼り紙を見て、さっそく面談にこぎつけたおりんちゃんですが、やえさんが「掃除やまかないなど、この子は慣れておりますから。仙台の女学校でも」
あー言っちゃった!
ハラハラしていると、おりんちゃん、なんとかつくろとしますが、おばあさん「お宅は福島でしょ?それがどうして仙台の女学校?」こういうおばあさん、めんどくさそう。
やえさんは、「一つウソをつくと、後からいくつでもウソをつくことになる。お前が信用できない人間になってしまう。女学校を出ているのがダメだと言われたら、それは諦めなければいけない」
と本音を話します。
おりんちゃんは意を決して、東北女学校で先生の助手をしていたと話すと、おばあさんは「一目見たときから、山出しの娘だとは思いませんでしたよ」
こういう人は勘所が良くて鋭いのだと思う。
おばあさんは、何が事情があるだろうと最後まで隠しとおすのだったら、女中に雇うのはやめようと思った!
やえさんがウソをつくでないと言ったことが、良かった!
おばあさんは、乳母としてずっと仕えてきたと言いますが、気位が高いのか、自分のことは年寄りとは思っていません!!!!
「旦那様は、奥さまはいませんが、その辺の若造じゃございませんよ。れっきとしたお役所の課長さまですよ」
気概がスゴイ!!!!!
長年、何の迷いもなく乳母として努めてきたことに、誇りがあるのでしょうね。
弘次郎許す
おりんちゃんは、官員さんのお家で通い女中に雇ってもらえることになり、仕事が決まって良かった。
橘家の人々に、雇ってくれた乳母は、品が良くてやさしそうな人だと話します。
こんな骨のある乳母のいるところなら、女学校とは違った経験が出来ると思ったのでしょうね。
ところが、ばあさまは女学校を出ているのに女中だなんてと、印象が良くないようですが、ばあさまの気持ちわからなくありません。
他の桂庵に行ってもっと相応しい仕事があるのではと話をしていると、やえさんが、「1日権妻ですから。東京の人の目も当てにならないモノはない。私の顔をぽっちゃりしてめんこいって言うんだから」と照れて話をしていると、じいさまの呆れた顔が何とも言えない。
ばあさまやじいさまは、おりんちゃんが女学校を出ているのだから、女中だなんてもったいないと思っているのに、弘次郎は意外にも「仕事に貴賤なし!一生懸命やりなさい」と、あっさりと許してくれました。
重労働で腰を痛めた弘次郎は、反対する元気がなかったのかな?
誠実な源造
おりんちゃんが女中の仕事をすることになったと話すと、源造は、自分の仕事が軌道に乗らないばかりに、苦労をさせていると謝ります。
自分の仕事が来年の春には会社の基盤をしっかり固めて、将来の見通しもきちんと立て、そしたらおりんちゃんの両親におりんちゃんをもらいに行くからと、なんて誠実なんでしょう。
おりんちゃん、大切にされています。
真っ暗な中で、二人は寄り添っていますが、何もなくても幸せなものが伝わって来ます。
そんな幸せな空気を、おようさんが役者の彼氏とぶち破ってくれました!
おようさんは、おようさんで、気の合った役者の彼と仲睦まじい様子。
いろんなあり方がありますが、おりんちゃんと源造は、頑なに一線を越えようとしないのに、結婚もしていない人と堂々とお寺に入って行く二人に、ぽかんとしています。
おなべちゃん
源造の誠実さが身に染みたのか、おりんちゃんは、仕事場へ行きますが、乳母は、「遅い!旦那さまがお出かけになった後、何をするんだい?ここは女学校じゃないんだよ」
旦那さまがお出かけになる前に来て、お休み前に帰るのが通い女中だと言います!!!!
確かに、労働時間を確認もせずに仕事を決めてしまったのは、おりんちゃん迂闊です。
おりんちゃん、納得していない様子ですが、ともかく中へ入ると乳母は、「ここの女中は”おなべ”と呼ぶ」と、おりんちゃんを呼びます!!
「おなべ」って、笑っちゃったけれど、こんな風に扱われるのはやだな。
せめて「メイドさん」と誰か教えてやってくれ。
下駄の脱ぎ方から、裏口の枯れ葉のことまで細かい乳母です。
「おしん」のように、子供の頃から奉公に出ていたら、そつなくこなしたかもしれませんが、おりんちゃんくらいになると、やっぱり厳しいんじゃないかな?
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