2020年7月25日(土)
はね駒キャスト
斉藤由貴、樹木希林、渡辺謙、小林稔侍、光石研、斉藤暁、矢島健一、丹阿弥谷津子、山内明
はね駒 あらすじ ネタバレ
3人の下宿人で朝は慌ただしくなりました。
顔を洗う井戸端も便所も、早い者勝ちの奪い合いです。
そんななか、こと(丹阿弥谷津子)は、りん(斉藤由貴)に産まれてくる赤ちゃんの産着を、一人悠然と縫っていました。
「針を持てるうちに縫っておきたい」と語るばあさま。
りんに今までで一番うれしかったのは何かと尋ねられ、「ひ孫の産着を縫っている今がいちばんうれしい時」とほほ笑むことでしたが…。
前置きレビュー
下宿屋がはじまり、一層にぎやかになりそうです。
そうでなくとも、ややこを授かったおりんちゃんはつわりもなく食欲旺盛です。
下宿の管理費を任されている弘次郎には、うれしい悲鳴になるかもしれません。
そんな中、ばあさまは生まれてくるひ孫のために産着をせっせと縫っています。
ばあさまは、弘次郎の産着を縫い、その次は弘次郎の子供のため、今は弘次郎の孫のためと、ばあさまの手から次の命のために、自分の命が、針目に伝わるようだと満足気に語るばあさま。
おりんちゃんは、自分の体内に宿るのは、おりんちゃんと源造だけのものではなく、小野寺家と橘家の先祖代々の血をわけたものだと感じます。
おみっちゃんの時には叶いませんでしたが、今度こそ、ばあさまにひ孫を抱いてもらいたいです。
ことばあさま!死因は?
ところが、ある暑い日のこと、ばあさまは誰にも気づかれずに、ひっそりと亡くなります。
数分前まで、おりんちゃんと話をしていたと言います。
おそらくばあさまは、眠るようにぽっくりと亡くなったのです。
ばあさまの死因は老衰かと思われます。
人は亡くなるときに、生きざまが現れると言いますが、いつも穏やかでお嫁さんのことを大切に思い、やさしい笑みを浮かべてきたばあさまは、年を重ねるごとに仏様のように近づいてきたようなので、良い亡くなり方をすることができたのだと思います。
ばあさまと共に生きた年月のおかげか、徳右衛門は悲しむどころか、生前と変わらぬ皮肉を言いますが、一心同体になることができ悲しみがないのかもしれません。
徳右衛門もまた、理想的な生き方をすることができたのでしょう。
丹阿弥谷津子の現在は?
ちなみに丹阿弥谷津子さんは、2020年7月現在、96歳のご長寿さんです!
丹阿弥谷津子(たんあみ やつこ)さんは大正13年、1924年6月25日生まれです。
東京市本所区両国(現在の東京都墨田区両国)出身です。
丹阿弥(たんあみ)と珍しい苗字ですが、父は横山大観に師事した日本画家の丹阿弥岩吉です。
ご主人は俳優の金子信雄さん!
2008年12月7日NHKの番組「NHKスペシャル・最後の戦犯」が最後の出演ですが、80歳の時の2004年のこちらの番組が見られます。
感想
下宿屋始まる
たくさんの細く切った大根に油揚げを鍋に入れ、お味噌汁ですね。
下宿屋が始まり、食事のことやら日常の雑務、いろいろと騒々しくなりそうです。
後藤さんが、やえさんにはばかりが一つしかないのかと聞きますが、やえさんは、ボーっとしている方が悪いとばかりにぶっきらぼうですが、オリエンテーションやってくれって話も。。
弘次郎が、はばかりから出てくると、やっと後藤さんが入れるかと思いきや、浦野さんに先を越されます!
浦野さん、感じが良さそうですが、意外としたたかでした!
産着
姉さまかぶりをしたおりんちゃん、かわいいです。
おりんちゃんも、下宿屋のことに気を回したりと忙しい様子。
ばあさまが、産着を縫っていますが、生まれてくるひ孫のために、産着を縫うなんて、これほど幸せなことはないのでしょうね。
だいたい孫の若夫婦と同居するなんて、昔は当たり前のことだったのかもしれませんが、それだけでも幸せだと思うのに、静かに産着を縫う幸せを、ばあさまは噛みしめているのかもしれません。
ばあさまは、おりんちゃんのお腹にいるややこは、小野寺家と橘家のご先祖様からの血が入っているから、立派な子になるように育てるようにと話しますが、命の尊さを思い知らされるようです。
ばあさまが子育てをしていた時は、じいさまは、ばあさまに任せっぱなしですが、一番大事なことの時には、必ずじいさまが道を決めてくれたので、ばあさまにとっては安心でき、心穏やかに生きてこられたと、すっかりのろけられちゃいました!
これと言った欲もなく、ただ良い息子たちに、良いお嫁さん、そしてかわいい孫に囲まれるだけで幸せだなんて、そんなことで良いのでしょうね。
なんて思っていたら、弘次郎が子供の時は、ばあさまのしつけが厳しかったと言いますが、そんなものかもしれません。
年をとるにつれて穏やかになっただけで、男の子3人を育てるのは、しっかりしていないとね。
徳右衛門は、ばあさまが娘の頃は家中の若侍が密かに思いをかけたほどの美人だったとご自慢です。
往事茫々 (おうじぼうぼう) と言うが、15で嫁に来たときのことは、はっきりを覚えていると徳右衛門は、娘時代のばあさまを思い出しているのでしょう。
それなのに、弘次郎にぶさいくだと言うと、弘次郎はムッとして「父親に似たんでしょ」と言って笑っちゃいます。
ばあさまの最後
おりんちゃんが、真っ赤なスイカを切って持ってきますが、おいしそう。
ばあさまが少しうなだれた様子です。
なんだか嫌な予感。
ばあさまは、おりんちゃんに声をかけられますが、おりんちゃんの腕の中で崩れるように落ちて行きます。
せめてひ孫に産着を着せるまでは、生きていて欲しかった。
あっけなくばあさまは亡くなってしまいますが、笑みを浮かべての死は大往生です。
散り際も美しかった!
素直なやえさん
やえさんは、突然の別れに、気持ちを落ち着かせようとしていたのでしょうが、一人でたたずんでいると、弘次郎がやってきて「お母さまに良く尽くしてくれた。ご苦労だったな」と言って、頭を下げます!
やえさんは、お嫁さんとして当然のことをしたまでだと思ったのでしょうけれど、あらためて弘次郎に礼を言われると、やえさん、顔をゆがめて泣きじゃくりますが、こちらも号泣・・・
ばあさまから大切に思われ、やえさんは、弘次郎に対して、ばあさまのグチなど話したことないんじゃないかな?
こんな幸せな結婚生活を送れた人が、どれほどいたのかわからないけれど、結婚してからの、いろいろな思いが、一気に噴き出したのでしょうね。
素敵なじいさま
じいさまが一人夜風に当たっています。
ばあさまが亡くなり、じいさまが心配ですが、うちわをあおぎながら月を見ています。
「あ~これはいい夜風だ」と言って、ついばあさまに話しかけますが、ばあさまが亡くなったことに気づきますが、クセのようになってしまったのでしょうね。
徳右衛門は、「お前のおっきな体がいない分だけ、よく風が当たる」と悪口を言いますが、死してもなお愛情の裏返し、ご愛嬌です。
「一人も、また楽し。案ずるなよ」
言葉が深くて、号泣してしまった。
最後の源造とおりんちゃんのシーンは、いらないように思ったけれど、おりんちゃんの涙がキレイすぎた。
そしてばあさまが、大切に育てた野の花の可憐なこと!
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